限界的練習法って何?
昨日は1日大雨だったので家で読書をしていました。読んでいた本はこれ。
結構文字が細かいので、紙の本で読むより文字サイズの調整できる電子書籍で読むべきでした(苦笑)
タイトルの通り、超一流と呼ばれる人達がどのような練習をして来たのかを分析・研究して書かれた本ということで、普通の人が何かしらのトレーニングを始めようという際にも参考になる部分はありそうだと思い、手に取りました。
様々な事例として、平凡な学生が従来では不可能とされていたような桁の数列を記憶できるようになった話や、チェスのトッププレイヤーや著名な音楽家がどのような練習を積んできたか、といった事例が紹介されています。30歳を過ぎてから絶対音感を身に付ける訓練を行った話などは、歳を取ってからもまだ新しいことを身に付ける可能性が十分にあることを示唆していて、オッサンの私にも希望が出てきます(苦笑)
まあ似たような話がいくつも紹介されるため、やや冗長な内容の本だったのは否めないのですが、それなりに興味深く読むことが出来ました。
本の帯には「限界的練習」の法則として、このようなことが書かれています。
1. 自分の能力を少しだけ超える負荷をかけつづける
2. 「これで十分」の範囲にとどまっていると、一度身につけたスキルは落ちていく
3. グループではなく、一人で没頭する時間を確保する
4. 自分の弱点を特定し、それを克服するための課題を徹底的に繰り返す
5. 練習を「楽しい」と感じていては、トッププレーヤーにはなれない
6. これ以上集中できないと思った時点で練習や勉強はうちきる
7. 上達が頭打ちになったときは、取り組むメニューを少しだけ変えてみる
8. 即座にフィードバックを得ることで、学習の速度は劇的に上がる
9. オンの時間とオフの時間をはっきり分け、一日のスケジュールを組む
10. どんな能力も生まれつきの才能ではなく、学習の質と量で決まる
この本の言いたいことはこの10項目の内容に集約されています。それぞれの項目の細かい解説は本文を読まなければなりませんが、この大雑把な項目を読むだけでも、割と実際のトレーニングで思い当たる部分がいっぱいあります。「自分の能力を超える負荷をかけ続ける」なんてのは現状まったく出来てないなぁ…
ただこの本、「才能か努力か?」というタイトルが付いている割には、生まれついての「才能」については否定的な意見が目立ちました。才能ではなく努力がトッププレイヤーになれるかを決める、という結論は確かに魅力的なんですが、そんなに甘くはないですよねぇ。
遺伝的な優劣
私は以前、遺伝子の検査サービスで自分のダイエット遺伝子を調べてもらったことがあります。
それによると私の体質は「バナナ型」タイプ(日本人の16.9%)に該当しました。筋肉が付きにくく、頑張って筋肉を付けたとしてもすぐに分解してしまう体質なのだそうです。
率直に言って筋力や筋持久力が優劣を分けるスポーツ向きの体ではありません。
これは自分でも確かに実感として分かります。練習して筋力付いたなーと思っていても気を抜くと割とすぐに戻ってしまうのです。まあその一方で基礎代謝が高く太りにくいという利点もあるので、悪いことばかりでもないのですが。
自転車の世界だと、このような個人差は「脚質」と表現されることがありますね。
もちろんこの言葉の中にはトレーニングによって培われた筋肉の質の違いも含まれますので、一概に生まれついての体質だけを差しているわけではないのですが、重要な要素であることは間違いないと思います。
サイクルロードレースの解説等で有名な栗村修さんが選手時代を振り返ってこんなことを言っています。
実は僕も瘦せ型でした。子供の頃はどちらかというと食も細いし、体のラインも細い。それがコンプレックスでしたから、(中略)でもヒルクライマーとして上を目指すならば、そういう体質のほうがいいんですよ。それは強みでもあります。
ただ、補足をすると、ヨーロッパでトップレベルの選手を目指すならば、どちらかといえば、やはりすぐ太るタイプのほうが生き残りやすい気はしています。毎日毎日過酷なトレーニングを行い、いざレースになればホテルからホテルへの移動を繰り返し、雨でも雪でも走る、という職業がレーサーです。なんでも食べられて、すぐ栄養にできる体が必要なんですよ。クライマーだ、スプリンターだという以前に、です。
う~ん、栗村さんもバナナ型だったんでしょうか?
もちろん私なんかはロード歴が長いと言ってもただの下手の横好きなんで栗村さんとは比較するべくもない遅さなのですが、「強みでもある」なんてお話を聞くとまだ頑張れそうな気がしてきます(苦笑)
まあ下手は下手なりに地道にやるしかありません。特にヒルクライムは自分自身との戦いですので、上で紹介した「限界的練習法」は取り入れやすいと感じています。その上で体質に応じた食事法なども組み合わせるのが一番効率が良いのではないかと考えています。