スタートレック: SNW・S2第7話「大昔のサイエンティスト」あらすじや感想など
(今回は案の定、文章多めです)
シーズン2 第7話「大昔のサイエンティスト」”Those Old Scientists”のあらすじ
2381年、U.S.S.セリトスはクラルマスB号星にあるポータルの調査にやって来た。このポータルは初代エンタープライズのパイク船長が発見した歴史あるポータルであり、ボイムラーは上陸任務が嬉しくてたまらない。
しかし壊れていたはずのポータルは突然作動を始めボイムラーを飲み込んでしまう。ボイムラーがポータルによって飛ばされた先は……
2259年、エンタープライズはセトリック2号星への穀物輸送任務の途中、クラルマスB号星で偶然発見したポータルを調査していた。そこに突然作動したポータルから、120年の時を超えてボイムラー少尉が現れる。
伝説の船と伝説のクルー達に出合ってボイムラーは大興奮!!!!
歴史に影響を出さないため早々に彼を未来に戻そうと試みるパイク船長達だったが、調査を続ける彼らの前にオリオンの科学調査船ドゥバルが現れる。
ドゥバルのハール・カラス船長はポータルを一方的に回収して飛び去ってしまった。
ボイムラーの協力のおかげで何とかポータルを元に戻したパイク達は、残り少ないホロニウムを使いポータルを作動させて未来へのゲートを開くことに成功する。
しかし逆に未来からマリナーが現れてしまい……
情報を整理してみる
- 今回の監督は我らがライカー副長役のジョナサン・フレイクス氏が久々に務めていらっしゃいます
- サブタイトルの「Those Old Scientists」略して “TOS" は、ローワーデッキシーズン1第10話「セリトス絶体絶命!」でのセリフが元ネタです
- ローワーデッキのいつものメンバーがいつも通りに登場します。吹き替え担当声優さんもいつも通りなので安心です!テンディ役の種市桃子さんはラアン保安主任と2役です
- 実写パートでボイムラーとマリナーを演じていたのは、英語版でそれぞれの声優を担当していらっしゃるジャック・クエイドさんとタウニー・ニューサムさんです。担当声優さんの顔出し出演ですね
- セトリック星系はカーデシア領域と連邦領域の境目辺りにあります。ウフーラがベイジョーやカーデシアについて調べていたのはそのためですね。ちなみに後のカーデシア戦争において、エンタープライズD配属前のオブライエンが酷い目に遭う場所だったりもします
- 宇宙歴から判断すると、ローワーデッキ側の時系列はシーズン3第6話「全てを聞き何も信じるな」の直後と思われます。つまりDS9での任務の帰りということになりますので、U.S.S.セリトスがカーデシア領域近くに居るというのは辻褄が合います
- ラザフォードとテンディが「数世紀ぶりに検知した!」と言って興奮していた”ホロニウム”というのはNX級宇宙船の外装用合金に使われていた物質です。しかし危険性があるため23世紀以降では使われていません。この物質がポータルの燃料になっていました
- エンタープライズはポータルを取り戻すための物々交換で、積み荷の穀物を失ってしまいました。明確な描写がありませんでしたが、最後には返してもらえたのかしら? あと穀物の輸送任務はTOSでもやっていた定番任務ですね。宇宙探査が主任務の割に雑用も多いのがエンタープライズです
- 「暴動中のサンフランシスコ」というのはDS9「2024年暴動の夜」やピカードシーズン2を踏まえての発言ですね
- マリナーはウフーラの大ファンだと言って盛り上がっていましたが、現実の黒人女性達にとってウフーラというキャラクターが持つ意味というのはかなり大きいものなのだそうでして、その辺りを反映した脚本なのだと思います
- ポータルに刻まれた文字は古代ノーシカン語の方言でした。ノーシカン人はピカード艦長の心臓を刺したり(TNG「運命の分かれ道」)マリナーにカモにされたり(LD「永遠のトム・パリス」)など、割とよく登場する異星人です。オルテガスのセリフに出てきた「エアハート宇宙基地」というのはまさにそのピカードが指された場所ですし、マリナーがドムジョットをやった場所でもあります
ちなみに基地名の由来となったアメリア・イアハートという人物は20世紀に実在した女性ですが、VOYシーズン2第1話「ミッシング1937」に登場しています - 「この時代だとQはまだだけどトリレーンはそろそろ」と言っていたトリレーンというのはTOSシーズン1第17話「ゴトス星の怪人」に登場したキャラクターで、Qの原型の一つと言われています
- ボイムラーは艦隊の船が伝統的に先代の船の部品を一部引き継ぐということを思い出し、機関室に残されていたNX-01の部品からホロニウムの入手に成功しました(ちなみにNX-01本体は艦隊ミュージアムに収蔵されており、ピカードシーズン3でチラッとだけ映っています)
- パイク船長はポータルの発見者をオリオン人だと記録して彼らの名誉を尊重することで、彼らと和解しました
- 24世紀の艦隊クルー募集ポスターにはウーナ副長の写真が使われており「アド・アストラ・ペル・アスペラ(苦難を乗り越えて星へ)」の言葉が使われていました(※シーズン2第二話のサブタイトルでもあります)このポスターが、ボイムラーが艦隊への入隊を決めた切っ掛けだったそうです
- オリオンの科学調査船ドゥバルにはテンディの曾祖母アストレアが乗っていました
- 「冬の星座のご主人様」というのはテンディのオリオンでの通り名。LDシーズン2「永遠のトム・パリス」の劇中でそう呼ばれるシーンがあります
- ランサム副長がウーナ副長のことを「艦隊史上最高にセクシーな士官」とか言ってやたらと褒めてましたが、ランサム副長の声を担当されているジェリー・オコンネルさんとウーナ副長を演じているレベッカ・ローミンさんはご夫婦です
- オリオンのカクテル「オリオン・ハリケーン」にはオリオン・デラクというお酒が必要とのこと。カラス船長からそれを貰えたのでみんなで楽しみましたが……
- 今回の宇宙歴は2291.6(2259年)および58460.1(2381年)
今回の感想
待望のローワーデッキコラボ回です。コレが見たかった!
ローワーデッキを見ていることが大前提のエピソードになりますので、今までアニメだからと敬遠してローワーデッキを見ていなかった人達にもこれを機に是非見て頂きたいところですね!!!※ただシーズン3以降を日本で見る手段が現在(2024年3月時点)存在しないのが残念すぎなのですが……
「これまでのあらすじ」が終わっところで唐突に普通にローワーデッキが始まるのにはブッタマゲました!(大爆笑)
実写パートに切り替わったところでボイムラーが「すごくリアルだ」と言うのには笑えますし、逆にアニメになったウフーラが「何もかも2次元みたい」と言い出すところも実に楽しいですな!
ローワーデッキばりに色々ネタが詰まってるので例によってシリーズのファンほど楽しめる造りではありましたが、ローワーデッキの独特なノリがストレンジニューワールドと思いのほかいい感じで噛み合っていたのは嬉しい誤算という感じです。
このバランスの良さは、相変わらずの調子で未来の情報を漏らしまくってしまうボイムラーとマリナーに対して、努めて大人の対応をしようとするパイク達の対比が良い塩梅だからなのでしょう。
とはいえスポックのキャラは少しローワーデッキ側に引っ張られて崩れてた感じはあったですけどね。笑顔がキモい(苦笑)
でもこれがチャペルさんとの未来がどうなるかを微妙に暗示しているという描写に繋がっていて実に上手いです。ボイムラーの言葉の意味に気付いて表情を曇らせるチャペルさんのいじらしいことったらないですわ!
ウーナ副長に対してのボイムラーの不自然な態度が、いやらしい意味かと思わせつつ、裁判の回で描かれた副長の生き方自体を肯定しフォローする落とし所に持っていくというのも素晴らしかったですなぁ。副長が思わず「ありがとう」と言うシーンは彼女の生き方が報われた瞬間であり、胸が熱くなります。
今回のコラボの話を聞いたときは、時代も作風も違う二つのシリーズをどう折り合い付けて同居させるのかが分からなくて不安半分だったのですが、蓋を開けてみたら見事な傑作回としてまとまっていました。大変レベルの高いエピソードでしたね。
あとはアニメ版のウフーラが実写とよく似ていて吹いた(苦笑) チャペルさんもよく似てるしオルテガスもバッチリじゃん! パイク船長の方はもうひとつって感じなんですけどねー
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