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雑記帳

パワードスーツは実現するか?現実の外骨格スーツ「スケルトニクス」を体験してきました

投稿日:2018年10月1日 更新日:

スケルトニクスとは

名前を聞いてもピンと来ない方は多いと思いますが、もしかすると外見くらいはTV放送や、どこかのイベントで目にした事があるかもしれません。

「動作拡大型スーツ」「外骨格スーツ」

などと呼ばれていますが、要は乗り込んだ人間の動作に合わせて動く、機械の手足です。

先日(2018年9月29日・30日)、ビッグサイトで行われた「全日本模型ホビーショー」にて、このマシンの展示体験会をやっておりましたので、ちょっと見てきました(まあ模型を見に行ったのがメインではありますが)

スケルトニクスの諸データ

今回ホビーショーに持ち込まれていたのは、「SKELETONICS ARRIVE」と呼ばれる機体。一応最新型らしく、公式ホームページを見ると販売もしています(1機1000万円だそうですが、半額セールをやってました・・・)

  • 身長2.8m
  • 体重40kg
  • 装着時間1分
  • 稼働時間60分

重量は意外と軽いのですね。尤も、特に動力装置が組み込まれているわけではないので、当然かもしれません。
基本的に人間の動作に追従して動作する金属フレームでしか無いからです。

機体製造は「スケルトニクス株式会社」

高専ロボコン全国優勝校の沖縄高専のメンバーにより発足し、その後グッドデザイン賞,文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦等を受賞しているそうです。

歩行も可能ですが、高下駄を履いたような状態なので、あまり素早い動作は無理ですね。フレームだけのシンプルな構造ながら、しっかりバランスをとって歩いていましたが、これは乗っている人間の技量に寄るところが大きいようです。

実際に操作してみました

操作しているのは私です(スタッフの方が写真を撮って下さいました)

さすがに歩行は転倒の危険があるため、体験会で出来るのは両腕の操作のみです。

印象としては、まだまだ不自由なキブスを付けているような状態だなあ、という感じ。
曲げられる関節が少なく、肩から大きく腕を動かす事は出来ますが、肘の曲げとか捻りは出来ませんので、思ったよりも動作範囲は限られていました。

10本の指は全部別々に動かす事も出来ましたが、ボタンでの操作はなかなか難しく、物を掴んで持ちあげられるような物でもありません。

細かい作業が出来るようになるにはまだ先が長そうです。実際の工事などの産業分野で実用として用いるには、改良しなければならない点も多いでしょうね。

SF・アニメにおける空想の強化外骨格スーツ(パワードスーツ)

このような外骨格スーツのアイデア自体は結構昔からありました。

ロバート・A・ハインラインのSF小説「宇宙の戦士」(1959年)に登場する「パワードスーツ」が最も初期で、最も有名かと思います。

「パワードスーツ」と言った場合、「強化外骨格スーツ」を指します。
スケルトニクスのような金属のフレームだけでは無く、油圧シリンダーや人工筋肉のような物を組み込んで、乗っている人間の力を何倍にも増幅することができる外骨格スーツ、というわけです(ちなみにパワードスーツは和製英語ですので、海外では通用しません)

「宇宙の戦士」のパワードスーツは、敵の星に大気圏外から降下し、走り回りながら爆弾(核含む)をバラまくという、物騒極まりない代物です。

この小説が日本語版に翻訳されたのは1967年ですが、このパワードスーツの存在を世に知らしめたのは1977年発行のハヤカワ文庫版において、スタジオぬえの宮武一貴氏がデザインし、加藤直之氏がイラストを担当した表紙と挿絵が大変魅力的だった事が大きいでしょう。
やはりSFは絵です。

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今見ても本当にカッコイイ

ガンダムを始め後のSF作品やロボットアニメに多大な影響を与えた事はあまりにも有名です。
この影響で日本のアニメーションにはパワードスーツ型のメカが割と良く登場します。例えば、

「機甲創世記モスピーダ」(1983年タツノコプロ)の「ライドアーマー」は有名です。
当時はマクロスの直後で変形するロボットが大ブームだった事もあり、モスピーダはバイクからパワードスーツに変形するのがウリになっておりました(トランスフォーマーの最初のアニメもこの時期です)
このモスピーダのデザインはなかなか完成度が高く、2018年の今でも新商品の変形トイが発売されているほど人気があります。

このモスピーダのデザインを手がけたのが、アニメ監督でもある荒牧伸志氏なのですが、荒巻氏は監督として「宇宙の戦士」の劇場版「スターシップ・トゥルーパーズ」のアニメシリーズも手がけているというのが因縁深いですね。

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荒巻氏デザインのパワードスーツと言えば
「メタルスキンパニック MADOX-01」(1988年アートミック)に登場する「タンクバスターMADOX-01」が大変魅力的なのですが、こちらは今ひとつマイナーなのが残念なところです。ミリタリー路線のパワードスーツとしては一つの頂点ともいえる傑作デザインだと思います(ストーリーはちょっとアレでしたが・・・)

またコミックにおいては、士郎正宗氏の「アップルシード」(1985年~)「攻殻機動隊」(1991年~)などには頻繁にパワードスーツが登場します。

この頃になると日本のSF作品においては、パワードスーツは特に説明無く登場する当たり前の存在になっていますね。

海外映画における外骨格スーツ

おそらくハリウッド映画で最初に大活躍した外骨格スーツは

「エイリアン2」(1986年20世紀フォックス)に登場した、「パワーローダー」でしょう。

こちらは戦闘用では無く完全に作業用ですが、映画終盤でのクイーンとの戦闘シーンは印象深い物でした(逆光で登場するシーンが超カッコイイ!)

このパワーローダーは高下駄を履いたようなデザインといい、腕の制限された動きといい、最初に紹介した現実の「スケルトニクス」がかなり近いところまで来ているように思います。

その後、パワードスーツの元祖たる存在の「宇宙の戦士」がハリウッドで「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997年)として映画化された際は、日本のファンはパワードスーツの登場に期待したのですが、この映画化ではパワードスーツは登場せず、軽装備の歩兵がひたすら巨大な虫にひき肉にされていくという内容で(苦笑)、一部熱狂的なファンは生まれましたが、パワードスーツを期待していたファンからは失望されたものです。

ハリウッド映画で次に目立った強化外骨格スーツというと

「マトリックス」(1999年ワーナーブラザース)のシリーズ2作目以降に登場したAPUというメカがありますが、これは人間側の主力兵器であるものの、ヤラレメカ枠でボッコボコに倒されていくという、なんとも悲しいメカでした

もう少しカッコイイ物を探すと、次に有名なのは一気に「アイアンマン」(2008年パラマウント)まで飛んでしまいます。

ただアイアンマンの場合、パワードスーツと言うよりもヒーロースーツというイメージですので、分類的には日本特撮の宇宙刑事や仮面ライダーなどと同カテゴリーという感じがします。

機能的な「外骨格スーツ」がちゃんと描かれたハリウッド映画としては

「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014年ワーナーブラザース)が挙げられるかと思います。(ちなみにこの映画、原作は日本のライトノベルです)

さすが2014年の映画ともなると、かなりリアル志向になります。この映画に登場する外骨格スーツは現実に米軍などで研究されている物が参考にされており、日本でも同種の研究は進んでいるのです。

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現実の外骨格スーツ

以下、現実に研究されている外骨格スーツの例をいくつか挙げてみます

まず米軍が研究しているのは、当然歩兵の能力を向上させる物。ロッキード・マーティン社が開発しているそうです。歩兵は行軍時はかなりの重量の装備を運ばなければなりませんが、この負担を大幅に減らす事が出来るのだそうです。

ハーバード大学が開発しているのも、装着者のパワーをアシストし移動時の疲労を軽減するタイプの物。用途はやはり兵士や、消防隊員、レスキュー隊員の使用を中心に、筋力の衰えた人や老人の補助も想定とのこと。

自動車メーカーのフォード社が実証試験を行っているのが「EksoVest」、製造現場での労働者用パワードスーツ。特徴は動力が無く、作業時に上げる腕や首、肩や背中を支える事に特化したスーツだそうです。労働作業時の負荷軽減による生産性の向上を図っているんですね。

一方で日本に目を向けますと、

パナソニックの子会社のベンチャー企業、ATOUN社(旧アクティブリンク社)の「POWERD WEAR」は既に販売中。荷物の運搬作業時や農作業用に、足腰をサポートする目的の製品が現場で活躍しています。ホームページを見ても製品価格は書いてないんですが、これはいくらぐらいするんでしょうねぇ・・・(と思って調べたら1台100万程度はするそうです)

世界のホンダも作ってます
こちらは少し用途が異なり、歩行困難者の歩行をアシストし、リハビリを支援するという物。二足歩行ロボット研究の技術が生かされています。

こうしてみると、現実のパワードスーツは実用としての目的が絞られており、地に足の付いた開発が進められているという印象です。決してSF映画のように、派手に飛び回って戦闘するだけが能では無いという事ですね。

まだまだ価格も高く、広く普及する類いの物ではありませんが、将来的には、例えば建築現場での重量作業で当たり前に使用するような時代が来るかもしれません。
ちょっと楽しみです。







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