自転車への嫌がらせに遭わないために
近頃自動車の「あおり運転」がニュースを騒がせていますが、あのような危険運転は自動車VS自動車に限ったものではありません。
より交通的に弱者である「自転車」も狙われることがあります。
自動車のドライバーから見れば車道を走っている自転車は目障りに映りやすく、また力の差(速度差)や万が一ぶつかったときの乗り手の安全性が圧倒的に違いますので、狙いやすい相手と思われる事もあるのです。
自転車に乗っていて自動車から危険な幅寄せを受けたような経験がある方は決して少なくないはずです。特に車道を高速で走るロードレーサーなどは目の敵にされることも多いと思います。
自転車に乗る時間が多ければ多いほど、そのような事態に遭遇する可能性は増えます。
特に自転車通勤などをしていると、朝の混雑する交通状況の中で時間的焦りもあって異常な運転をする人に遭遇することもあるかと思います。
無闇に煽ってくる人間が悪いのは当然としても、自分の身はやはり自分で守る努力をしなければなりません。
私もこれまで色々な対策を試してきましたので、それをご紹介したいと思います。
交通ルールを守る
なにを当たり前のことをと思われるかもしれませんが、これは大変大事なことです。
万が一事故になったときに自分がルールを守っていたという事実はその後の警察対応や保険対応でも強みになります。
また「ちょっとくらいいか」という気持ちで信号を無視して進んだとします。それを見ていた自動車のドライバーはこう思うかもしれません。
「おれは信号守ってるのに無視して進みやがった。ムカつくから追い抜くときに幅寄せしてやれ」
信号を無視したことで不要な危険を呼び込んでしまうわけです。
路上で余計な敵を作らないという意味でも、交通ルールは正しく守りましょう。
ただそれでも絶対安全なわけではありません。
私が以前経験したことなのですが、信号を守って止まっていたら後ろから来た原チャリが前に出られないと文句を言ってきました。どうも信号無視して突っ切るつもりだったようで、私に邪魔されたと文句言いながら、その後数百メートルつきまとわれました。
本当に頭のおかしい人は居るものです・・・
安全なコースを選ぶ余裕を持つ
車に絡まれないような道をできるだけ選ぶことも大事です。
十分な幅のある歩道、サイクリングロード、自転車レーン。安全に走れる道を探しましょう。
ですがそのような道だけを走るというのもなかなか困難です。
歩道は本来歩行者のためのスペースですし、自転車レーンが整備された道もまだまだ少ないです。歩道や路側帯が狭くてどうしても自動車と併走になってしまうこともあります。
ですがここは気持ちを切り替えましょう。
少しぐらい遠回りになっても、より安全なコースをとることは決して損な事ではありません。むしろ「距離が増えて良いトレーニングになる」くらいの余裕を持つことも大事なのではないかと思います。
積極的に「安全な遠回り」を取り入れていきましょう。
(注:本来自転車が走るべきは車道ですが、自転車の通行を認めている歩道も沢山あります。しかし歩道を走ることで歩行者に対して「煽る」ようなことにならないよう十分注意しなければなりません)
ダミーのカメラを取り付けて周囲にアピールする
この辺から実践的なアイデアです。
先頃の煽り運転のニュースでも、決定的な証拠となったのは被害者のドライブレコーダーの映像でした。映像が決定的な証拠になるということは現代では常識です。
しかし普通、自転車がドライブレコーダーを積んでいるという事はまれです。
ドライバー側もそれをよくわかっています。多少荒っぽく運転して幅寄せしても証拠なんか残らない、と思うと気が大きくなるということは十分考えられることです。
煽り運転なんてする時点で十分頭がおかしいのですが、そう言う人にかぎって「証拠が残るリスク」には敏感だったりするのです。
こういう相手には、録画しているぞと思わせるだけで効果があります。
私が以前やっていたのは、ヘルメットにダミーのカメラを取り付けて録画しているように見せかけるという手段でした。
ヘルメット用のカメラマウントアダプターを使い、 ヘルメットの上にダミーのカメラをつけました。
この時私が使っていたカメラはジャンク品として300円ほどで買ってきたコンパクトカメラで、実際に動画を撮影することは出来なかったのですが、ようは他人が見たときに「カメラが撮影している」と思わせればいいので、ジャンク品でもモックアップでも構わなかったのです。どうせ安価なダミーだから適当に扱っても気にならないという利点もありましたしね。
いかにもビデオカメラっぽい外見のカメラの方が効果が高いかもしれません。これを付けていたときに幅寄せしてきたタクシーのドライバーの顔の方にわざとらしくカメラを向けてみたら、そのままスピード上げて去って行ってしまったという事がありましたので、効果はあると思います。
私の経験ではタクシーや路線バスのドライバーに対して特に有効でした。彼らも生活がかかってますから証拠が残るのを嫌うのでしょう(だったら幅寄せなんかしなきゃ良いのに…)
ドライブレコーダー(カメラ)で本当に録画する
ダミーもいいのですが、できれば本当に録画する方が実際にに何かあったときには役立ちます。
昔は小型のビデオカメラは高価でしてたしバッテリーの持ちも良くありませんでしたが、いまは小型のアクションカメラで長時間録画可能な物が安価で購入できますので、私も今は一台用意しています(常時使っているわけではありませんが)
最近はドライブレコーダーをつけている自動車はかなり増えていますし、特にタクシーはほぼ間違いなく取り付けています。でもタクシー等はもし事故が起きても自分の側に不利な映像が映っていたら絶対に出してきません(事故が起きた場合も映像の提出はあくまで任意だからです)
いざというときの証拠は自分で押さえておく方が確実です。
もちろん実際に録画する場合も、目立つように取り付けておけばダミーカメラ同様周囲へのアピール効果がねらえます。
私の場合は、ヘルメットに付ける場合はダミーの場合と同じやり方で取り付け、ヘルメットを被らないときはバンドを使って頭に固定しています。
使っているアクションカメラは中華製の安物で、私が買ったときはAmazonのタイムセールで5700円で購入できました。一応4K対応商品だったのですが4Kで撮影するとファイルは大きいしバッテリーの消費も早かったので、画質を落として使っています。720p30fの設定にするとバッテリー1個で約100分の連続録画が出来ましたので、実用上はこのくらいが使いやすいですね。
同程度のアクションカメラは安価な物がいくつも販売されていますので、自分の予算に合った物を選べば問題ないかと思います。まあ予算が許せばやはりGoPro辺りを選んでおく方が鉄板で確実だとは思いますけどね(それなりの価格はしますが)
このような小型のカメラでも結構周りには目立つらしく、私がアクションカメラを付けて走っていたら歩行者の方が「あ、録画してる」と言いながら写らないように顔を隠した、という事もありました。
このあたりの他者のプライバシーに対する配慮には、まだ一考の必要がありそうです。
最後はとにかく逃げろ
いろいろ対策をしても本当に頭のおかしい人に絡まれた場合、一番にやるべきことは「逃げる」です。
煽り運転のドライバーが車から降りて向かってきたら、もう迷わず逃げましょう。
場所にもよりますが、自転車なら車では簡単に追ってこれないような道を逃げることも可能なはずです。可能なら速攻で交番に逃げ込むのがベストでしょう。
逃げることは恥でも負けでもありません。逃げるが勝ちという言葉があるのですから。
福岡県の小さな街でいつも自転車を運転しています。
私も普段遠回りしてでもなるべく安全な道を使っておりますが、それでも自転車に対する車の「煽り運転」にストレスを感じることが多く、投稿させていただきました。
抑止力として、よいと思ったアイデアは警察官による覆面自転車です。
一般人の格好で警察の方に自転車でパトロールして頂き、
煽っている車を取り締まって頂く。
ある程度運転手から認知されると、抑止力になるのではと思いました。
交通社会の実態として、自転車に対する道交法は運用ができないというのが行政の本音です。
つまり、自転車に軽車両である法律上の根拠があっても車道通行原則という法律は自転車に車道通行を奨励させているのではなく、歩道上の歩行者を守る為の方便と解釈するべきです。
日本の車道幅員は2.75mを基準として定めた道路構造令があり、そもそも自転車の車道通行を想定していません、また、交差点における自転車横断帯の削除が叫ばれながら、よく見ると信号柱には歩行者、自転車の共用認識を促す表示板がそのまま残されていたりする訳で、事実上の自転車は歩行者の仲間とされている事です。
都心でのみ車道端にピクトグラム(自転車絵柄、)や、矢羽型ライン等の試みが施行され、自転車の車道通行を試みる運びとなっていますが、地方ではこの動きはありません。
つまりは、なるべく自転車利用者にも、歩道が通行できるのなら(歩行者が少ないなら)歩道を通行して欲しいと考えるのが行政の本音だからです。
自転車に車道原則を謳っておきながら、実は歩道通行を奨励させている訳です。
ロードバイクを愉しむ場合、車に積載して、走れる場所に移動してからとか、交通量の少ない地方道を選んで楽しむ位に考えないと、日本では自転車を愉しむ事は難しいとおもいますね。
貴重なご意見をありがとうございます。現実はなかなか難しいところですね。
行政のやっていることは結局は現実をあまり顧みない「お役所仕事」という印象はあります。実際車道にピクトグラムやラインが引かれていても「こんなところ通れるかい!」と言いたくなるような事もあります(苦笑)
かといって歩道を走るのも難しいところがあるのが現実です。その辺の見極めが大事ですね。
またこの記事では書きませんでしたが、歩行者が自転車に「煽り」をしてくることもあります。以前遭遇して酷かったのは「自転車は歩道を通るな!」と叫びながら両手広げて正面から突っ込んできた老人でした。これには目を疑いましたよ。逆に自分が歩行者の時に「邪魔だ死ね!」と怒鳴られたこともあります。
車のドライバーにしろ歩行者にしろ、そしてもちろん自転車側もですが、譲り合いの気持ちや安全意識、心のゆとりの大事さを痛感させられます。