スタートレック: SNW・S1第5話「スポックの混乱」あらすじや感想など
シーズン1 第5話「スポックの混乱」”Spock Amok”のあらすじ
ゴーンとの戦いで傷を負ったエンタープライズは第一宇宙基地で修理を受けることになった。その間クルー達には上陸休暇の時間が与えられる。
スポックは婚約者のトゥ・プリングと久々に再会し2人の時間を過ごそうとするが、地球人とバルカン人という2つの存在の間で彼の精神は揺れ動いていた。おまけに今回もまた艦隊の任務に邪魔をされ、2人の関係はギクシャクするばかり。
チャペルの助言を受け、スポックはプリングと互いの気持ちを理解するために「魂の共有」の儀式を行うことにした。しかし儀式は思わぬ効果を生み、2人は精神が入れ替わって元の体に戻ることが出来なくなってしまった。
一方、宇宙基地ではロンゴヴィア保護領に対する惑星連邦加盟の条約交渉が行われていた。パイク船長がロンゴヴィア代表団の対応にあたることになったものの、交渉は暗礁に乗り上げていた。
そしてロンゴヴィア代表団は交渉役としてスポックを指名してくるのだが……
情報を整理してみる
- 冒頭で描かれるバルカンの儀式はTOSシーズン2第1話「バルカン星人の秘密」でも描かれた「クナカリフィーの儀式」です(ちなみにこの儀式で使っている変な武器がリルパ)
- クナカリフィーということは儀式を取り仕切っているのはおそらくトゥパオさんですね。彼女はENTシーズン4第7話「狙われた地球大使館」からの3部作にも登場しています
- プリングはバルカン論理に反する犯罪者を捕らえて更生させる(論理の道筋に戻す)仕事をしているとのこと
- プリングは犯罪者バルジャンを「ヴトシュ・カトゥール」と呼んでましたが、これは論理に異を唱えるバルカン人達を指す言葉です。このような人々はENTシーズン1第17話「果てなき心の旅」などでも登場しています
- バルカン人は理論を重んじ感情を排除しようとする文化ですが、上記のように理論より感情を重視しようとする派閥も存在します。25世紀が舞台のPICシーズン3でも反コリナーの話題が出ていましたので、この問題の根は深いと言えます(コリナーとはバルカン人が儀式や修行を経て感情を排除することです。儀式そのものを指すこともあります)
- ロンゴヴィア保護領は、連邦・クリンゴン・ロミュランの各勢力が拮抗する宙域に位置する重要地点とのこと。なんとも物騒な場所ですね。星図を見た感じだと、位置的には連邦から見てクラック・デケル・ブラクトの手前辺りのようです
- チャペルとオルテガス操舵士の会話に出てきたアルギリス2号星というのはTOSシーズン2第14話「惑星アルギリスの殺人鬼」の舞台になった惑星です
- ドクタームベンガがうっかり口を滑らしたことで、ウーナ副長が下級士官の間で「お楽しみ殺し」とあだ名されていることが本人にバレてしまいました
- 下級士官の間では「エンタープライズ・ビンゴ」と呼ばれる遊びが流行っているようです。リストに規定された「規則違反項目」を全て実行ることでビンゴ達成とのこと。項目は以下の通り
1.転送機を使ってガムの味を戻す
2.フェイザーを麻痺にして決闘する
3.ターボリフトで同時に2つの行き先を言う
4.宇宙翻訳機をアンドリア語にする
5.重力ブーツでぶらさがる
6.バルカン有袋類のデータを医療用トリコーダーに表示
7.フードレプリケーターでドリアンの実をつくる
8.転送バッファにトリブル1匹を忍び込ませる
9.船長席に座る
10.外装の焦げ跡にサインする
※ちなみに吹き替えではビンゴをやっているのは下士官達だと言っていましたが、字幕の方では下級士官になっていました(捕まっていたクルーは少尉でしたがそれ以下のクルーも参加していたようです) - ウーナとラアンの2人は実際に自分たちもビンゴゲームを試して下級士官の気持ちを理解してみようと考えました
- この時代もボリアン人がクルーにいるんですね(エンタープライズDだとボリアン人は床屋をやってます)
- スポックが子供の頃飼っていたというペットの「セレット」はTASシーズン1第2話「タイムトラベルの驚異」で姿を見ることが出来ます。その回はアニメでしたが、ENTシーズン4第7話「狙われた地球大使館」には実写でセレットが登場しています。なおチャペルさんのペットのマラミュートというのは犬の品種です
- プリングはスポックの体で外交任務を、スポックはプリングの体で犯罪者との交渉任務をそれぞれ完遂し、互いの理解を深めました
- 交渉の席で相手への共感を示したパイク船長の言動が、ロンゴビア代表団との交渉を成功させる決め手になったようです
- スポックとプリングの精神はドクタームベンガの治療のおかげで元に戻ることが出来ました
- 今回の宇宙歴は2341.4(SNWはなんか宇宙歴がやたらと前後して時系列と合いませんね……何か理由があるのかしら?)
今回の感想
今回はスポックとトゥ・プリングさんの中身入れ替わりネタをメインに、難しい外交問題と、副長&ラアンのドタバタが並行して描かれる構成です。
副長とラアンが正反対な尋問手法で攻めるところは愉快でした。性格からすれば副長も厳しい尋問やりそうなんですけど、あれはその直前のシーンでどっちが悪者を演じるか決めてたんですね。この2人結構状況を楽しんでるじゃん!
ビンゴというおふざけ要素を入れたり下級士官に焦点をあてたりしているのは「ローワーデッキ」へのリスペクトが見て取れます(前回ではさんざん下級士官を酷い目に遭わせてたのになー)
そして鉄板中の鉄板である入れ替わりネタ! スタトレに限らず古来から色々な作品で使われるド定番ネタですよ! スポックとプリングが互いの距離を測り兼ねながらも、関係を進めていく過程が実に楽しいです。
とはいえ、今回はなんとか2人の関係は丸く収まりましたが、TOSを見ている人にとってはスポックとプリングが最終的に破局することが分かっているので(えぇ……)なんとも複雑な気分だったりします。
その中でチャペル看護師の存在がスパイスになってくれてるのがいいですねぇ。彼女の見え隠れする本心がもどかしくて、実にいじらしい。
外交交渉の件にしても、ビンゴを試してみて下級士官達を理解しようとする点にしても、今回のテーマは相手に対する共感と理解にあるわけなんでしょうが、そんな中で一番オープンな性格に見えるチャペルさんが一番自分を押し殺して本心を見せない、という図式がグッと来ますな。
ちなみに「まんが宇宙大作戦」の頃になると、チャペル看護師はスポックに惚れ薬を盛るくらいにはっちゃけます(苦笑)
「SNW」の目次ページはこちら