家で出来る!POM素材プラモパーツへの焼付塗装を試してみました。加熱方法や加熱時間はこんな感じで!
最近メガミデバイスやフレームアームズガールのプラモなどでよく見られるPOM素材。
強度があって間接等に使われることが増えていますが、この素材には塗装が出来ないという問題があります。塗ってもすぐに剥がれてしまうのです。
先日発売されたモデルグラフィックス誌の特集の中で、このPOM樹脂に対する塗装手法が紹介されていました。
ただ記事の中では簡単に触れられていただけで、あまり細かいやり方までは書いてありませんでした。
ここは一つ実際に試してみたいと思います。
問題はどのように熱を加えるかです
記事で紹介されていた内容を簡単に書くと、
タミヤのサーフェーサーを吹き120度以下で熱して焼き付け塗装をする、です。
熱する方法はオーブントースターやドライヤーとのことでしたが、オーブントースターに入れたりしたら溶けちゃうんじゃない? という疑問が頭をよぎります。
そこでまずは、家にあるオーブントースターでランナーを熱して溶けるかどうか確認してみることにしました。特に温度調節機能のない安物オーブントースターです。
左がPOM、右がPSのランナーです。これを5分ほどオーブントースターで熱してみたところ……
溶けました(苦笑)そりゃそうですよねぇ。もちろんオーブントースターの機種によって変わってくるとは思いますが。
調べてみたところ、素材の配合にも影響されるものの、
- POM樹脂の融点…175~180度程度
- PS樹脂の融点…100度程度
- PVC樹脂の融点…80~160度程度(配合によってかなり幅があるようです)
とのことです。POMの方が熱には強いんですね。
そこで今度は同じ実験を、温度調整の出来るオーブン電子レンジのオーブンモードでやってみました。いつもお菓子を焼くときなどに使っているごく普通の家庭用オーブンです(ついでに今回はPVCも参加させてみました)
120度で5分ほど加熱してみました。すると……
一番上のPVCは少し溶け、真ん中のPSはやはり溶けて縮んでしまいましたが、一番下のPOMは全く溶けませんでした(ちょっと曲がっているのは最初から曲がった部分のランナーを使ったためです)
ともかく、オーブンレンジを使えば120度程度の安定した加熱が出来ると分かりました。
では焼き付け塗装をしてみましょう!
モデルグラフィックス誌によるとタミヤのスーパーサーフェーサーを使えとのことだっので、とりあえずはそれに従うことにしました。理由はよく分かりませんがプライマー入りなのがポイントなんでしょうかねぇ?
ちょうど手元に1本持っていましたので、これを使います。
加熱時間やタイミングが良く分からなかったので焼き付け塗装の知識をネットで調べたところ、20分以上は焼かないと駄目なようです。そこで吹き付けたサーフェーサーが生乾きのところで加熱を初めて、30分じっくり焼くことにしました。
というわけで焼き上がりました。
左は単にサーフェーサーを吹いて乾燥させただけの物。右は焼き付けを行った物です。どちらも同じキットの同じ品番ランナータグですので素材的な差はありません。
よ~く乾かしてから、これを千枚通しを使ってガリガリと擦って見たところ……
こうなりました。
吹き付けただけの塗面は簡単に剥がれてしまいましたが、焼き付けした方は剥がれませんでした。しっかり食いついているようです。
もちろん金属の針を使って強く擦っているわけですから傷は付きましたが、表面に傷が付くだけで剥がれるまでは行きませんでした。これだけの強度が出ているなら下地としては申し分ないんじゃないでしょうか。
サーフェーサーで下地が出来ましたから、この上には普通にラッカーや水性ホビーカラーを塗装できるはずです。
ちょっと焼き付けの手間はかかりますが、どうしてもPOMを塗りたいときには使える手法だと思います。
※POMの成分はメーカーによって微妙に異なり融点も変わってくる場合が考えられます。またオーブンについても、メーカーや型式、経年劣化等によって表示温度と実際の温度にズレが出る可能性も有りえます。
実際にパーツを焼き付ける際には、事前にランナーなどで試し焼きをしてパーツが溶けないことを確認してから行うことをお勧め致します
(追記)
私はオーブン電子レンジのオーブン機能で行いましたが、温度調整機能付きのオーブントースターを使う手もあるそうです。そちらの方が安価なので、これから導入を考える場合には良いかもしれません。
ただし安価なものほど温度調整の正確さは劣る可能性が高いです(おそらくサーモスイッチを使ったオンオフ制御だと思います)
そのような製品で行う場合には、本番前の確認をことさら十分に行った方が良いと思います。