塗装しにくいPVCやABSパーツの下地処理のやり方(2020年10月版)【FA:G、メガミデバイス】
手間のかかるパーツの処理
昨日まで塗装の話を続けて書きましたので、ついでにPVCパーツやABSパーツについての話をまとめておこうかと思います。
現時点で私がやっている下処理のやり方です。
とは言えもっと他にも良いやり方はあるかもしれませんし、今後優れたマテリアルが登場してこのような処理は古いやり方になってしまうことだって十分に考えられます。そのへんはまあ、あくまで一例として御参考にして頂ければと思います。
手のPVCパーツの処理
メガミデバイスやフレームアームズガールの手のパーツはPVC(ポリ塩化ビニル)という種類に分類される軟質素材が使われています。
安価で耐久性に優れた素材なのですが、塗装や接着にはやや難があるのと、軟質で曲がる素材のため塗料の食いつきが悪いとすぐ剥がれてしまうという欠点があります。
で、このPVC製のハンドパーツを私の場合はこんな処理をして塗っています。
- パーティングラインを削る
まずはパーティングラインの処理です。私は180番くらいの荒いペーパーでガシガシやっちゃいます。当然写真のようにガサガサになってしまいます - ツールクリーナーで荒れた表面を均す
ツールクリーナーを筆塗りして、ガサガサになった表面を溶かしてしまいます。最近はパーティングラインをツールクリーナーで溶かす手法が一般的になってきているようですが、いきなりパーティングライン自体を溶かそうとすると結構時間がかかるので、私は先にペーパーで削ってしまっているのです。 - プライマーを塗る
プライマーを筆塗りします。使っているプライマーはガイアのプライマー、つまるところミッチャクロンですね
- アクリジョンベースカラーで下地を塗る
私はここでさらに念を入れて、アクリジョンベースレッドを筆塗りしています。アクリジョン自体もPVCへの塗装に対応した塗料ですが、プライマーと合わせて使うことでより強い下地になるのを狙っています。 - 本塗装で仕上げる
ここまで来たら後はラッカーで本塗装です。この写真の場合はメタリックピンクを塗った後、よく乾かしてから光沢クリアーを被せて保護しています。
結構手間がかかっているように見えますが、最後の本塗装にエアブラシを使っているほかは全て筆塗りなので意外と作業は楽ちんです。乾燥時間をちゃんと取るので時間はかかるのですが。
このパーツは武器を持たせたりするときに何度も曲げ伸ばしをするため、武器のグリップの方に色移りしたり、せっかく塗った塗装が剥げてしまったりしやすいのですが、今のところは大丈夫なようです(よ~く見るとちょっとだけ色移りの形跡がうかがえるのですが……)
まあ現状では、このくらいやっておけばまずOKだろうという感じです。
ABSパーツの割れ対策!
ABSの溶剤による割れには何度も痛い目を見ていますが、ここ最近は幸いなことに割れずにちゃんと組めています。
割れる原因はABSパーツの組立時に発生した微細なクラックに溶剤が浸透しケミカルクラックを起こすためだと以前学びました(こちらの記事)
関節などの力が加わるパーツにはクラックが起きやすいわけですが、ABSは素材の特性から関節パーツに使われることが多いという、大変困ったジレンマがあるわけです。
そこで塗料の溶剤が浸透する前にプライマーやアクリジョンベースカラーを先回りさせ、このクラックに溶剤が入り込まないようにしてしまおうというわけです。
特にアクリジョンは水で薄めて筆塗りできますので安全性も良好です。ベースカラーならサーフェーサー成分も入っているため下地処理としてもってこいですし、塗面も強いです。
問題は普通に塗ると塗面が厚くなってしまうこと。関節部はクリアランスをしっかり取りたいところですから塗面も出来るだけ薄くしたいのですが、それとは矛盾してしまいます。
で、最近はとにかくどこまで薄塗りできるかを追求しておりました。
水で薄めたアクリジョンベースレッドを筆塗りしています。シャバシャバに薄めているためムラだらけですが、おかげでかなり薄い塗面になっています。
これ以上水で薄めるとプラパーツに弾かれてしまう一歩手前くらいまで薄めても、一度塗料が乗ってしまえばしっかり食いついてくれるようです。
こんなやり方をやってみようと思ったのは(別の記事でも書きましたが)モデルグラフィックスのクレオス特集の号でアクリジョンの担当の方が
「シャバシャバに薄めることで薄く塗り重ねたり流し込みといった使い方も出来る」
とおっしゃっていたのを読んだからなのです。
上の写真の段階ではムラだらけですが薄く仕上がっているため、上から普通にエアブラシで塗装すればこのムラは綺麗に消えてくれます(まあ色にも寄るでしょうが)
最近は足首周りの細かいABSパーツや力のかかる膝周りなどのパーツもこのやり方で下塗りしています。今のところは問題なく上塗りのラッカーを塗れておりますので、割と有効な手段なのではないかと思います。