美少女プラモデルの塗装面の傷を防ぐ方法について・後編、塗装面の強度の話【FA:G、メガミデバイス】
塗装面を固く丈夫にしたい!
多少パーツが擦った程度では傷つかないような強固な塗面で塗ることが出来ればそれに越したことはありませんが、これも一筋縄ではいきません。
完成品で売られているフィギュアや玩具は多少荒っぽく扱ってもなかなか塗装が剥がれたりしないため、同じような塗装を自分でも出来ればと考えがちです。
ですが完成品の場合は、家庭用に売られているプラモデル用塗料よりも強い溶剤の塗料で塗られていたり、性質の異なるウレタン塗料などが使われていたりします。
こういった業務用の塗料は、強固な代償として引火性が高かったり毒性が強かったりとリスクも大きいため、素人が安易に用いるのはあまり好ましいとは思いません。そもそもプラモデル用としての小売りもあまりされていません。
それでもどうしても強い塗料が使いたい! という場合には、Vカラーという製品があります。
ソフビ用という商品のため普通のプラスチックやABSには少々強すぎる塗料でして、これのシンナーにプラモのパーツを漬けると簡単に溶けてしまうほどです。
色の種類があまりありませんので、シンナーのみを購入しプラモ用のラッカー塗料と合わせて使うといったやり方をしている方もいらっしゃるようです。
私も昔使ったことがありますが、いろいろ気を使わなければなりませんので、わりとすぐに使うのを止めてしまいました(シンナーだけ余ってるんだけどどうしたものか…)
その代わり確かに塗面は強いです。ソフビやPVCにもしっかり食いつきます(というか元々そのために開発された塗料です)ので、リスクを許容できる環境なら試してみるのもよろしいかと思います。
普通のプラモ用塗料で考える
普通のプラモデル用塗料も最近はだいぶ改良が進んで使いやすくなりました。
特に安全性を重視した水性塗料の進歩はめざましく、最近登場した新型の水性ホビーカラーなどはだいぶ塗面が強固になりました。それに乾燥後でもマジックリンで溶かせるので使い勝手はかなり良いです。
同様に安全性の高い水性塗料のアクリジョンも、完全乾燥後の塗面の強さは大した物だと思います。ちょっと使い方にクセのある塗料ではありますが、ABSにも安心して塗れるため大変重宝しています。
しかしそれでもやはり一番塗面が強いのはMrカラーに代表されるラッカー系塗料ですね。発色も良く色数も豊富で、匂いなどの条件が許容できるならやはり一番のオススメはこれです。
先日のC3AFA内にて、弊社スタッフが出演させていただいた時に使用した、弊社塗料の違いのスライド画像をアップ致します。2枚目の水性ホビーカラーとアクリジョンの違いスライドは番組の進行時間上カットしましたので、今回初お目見えです。 pic.twitter.com/Zx3hjcAGei
— GSIクレオス ホビー部 (@creoshobby_info) October 22, 2020
個人的な経験からの印象ですが、アクリジョンベースカラーを下地にしてラッカーを上塗りしてやった場合、かなり強固な塗装面になる感触があります。ただ塗面に厚みが出てしまうので結局はクリアランス調整との合わせ技になってしまうんですけどね。
光沢クリアーの威力!!
当然ですが光沢クリアーでつるつるに仕上げた塗面の方が、つや消し仕上げの塗装面よりも圧倒的に強固です。ツヤ消し処理をするとどうしても塗装面の強度は落ちます。
これはつや消し塗料に含まれる目に見えないほどの小さいツヤ消し剤が表面にボコボコと出っ張って見た目のツヤを落としているからで、引っかかりが多ければ傷つきやすくなるのは仕方がありません。
ちなみにこのツヤ消し剤の粒が大きくなると「あらめラフ」のようなガッツリしたツヤ消しに、粒が細かくて滑らかだと「なめらかスムース」のような仕上がりになるのだそうです。ただ実際にやってみると、なかなか理屈通りのツヤ消しにはなってくれません。ツヤ消しは奥が深いです。
上の図は塗装面にすぐツヤ消しクリアーを吹いている状態なわけですが、この状態でツヤ消し剤が剥がれてしまうと、塗装面も巻き込んで一緒に剥がれてしまう可能性があります。
そこでオススメは、手間はかかりますが一度光沢クリアー層を挟むことです。私もこれをやるようになってから傷で塗面を痛めることが格段に減りました。それに傷や色移りが起きてもリカバリーが楽になりました。
塗装面まで傷が届いていなければ、軽くペーパーかけた上でクリアーを吹き直してやればリカバリー可能ですからね。
私はスーパークリアー光沢を使っていますが、これはプラモデル用塗料の中では入手も楽で使いやすいですし、強度とのバランスも良い塗料だと思います。
ちなみにプロの方はクリアー重ねまくるそうです!
先日買ったホビージャパンエクストラ誌で読んだのですが……
この表紙のメガミデバイスの肌色は成形色そのままで肌色の塗装はしていないそうなのですが、それでも光沢クリアーを5層、ツヤ消しクリアーを2層吹いて仕上げているそうで
「そんなに重ねてるの!?」
とビックリしました。間にデカールやチークを挟んでるとのことですが、それだけ念入りに重ねて保護層を作ってるんですね。
ちなみに私が先日作ったメガミデバイス・一条綾香ちゃんでは、重ねたのはクリアー3層、ツヤ消し1層程度です。こういった念の入れ方がプロとの決定的な違いなんでしょうねぇ。
いやホント、この号は参考になること多くて超オススメですよ。