スタートレック: SNW・S2第2話「苦難を乗り越え、星へ」あらすじや感想など
シーズン2 第2話「苦難を乗り越え、星へ」”Ad Astra per Aspera”のあらすじ
ウーナ副長の裁判を控え、パイク船長はヴォルテラ星雲のコロニーへとやって来た。
イリリア人の凄腕弁護士でウーナの古い友人でもある女性、ニーラに弁護を依頼するためだ。
ウーナとの関係にわだかまりがあり、また連邦に強い不信感を抱くニーラは一度は弁護を断るが、イリリア人全体の立場を変えるために戦うことを決める。
司法取引を拒否し正面から争うことを決めたウーナに対し、検察側のパサーク中将は懲役20年を求刑する。それは明らかに行きすぎた懲罰求刑であった。
裁判が始まる。
ニーラは連邦が法を守ろうとするあまり迫害者になってしまっていると指摘し、法律が差別の助長に繋がっている現状を明らかにしていく。
しかしパサーク中将はあくまで法に従うことを主張し、さらに裁判の過程でパイク船長にも共同謀議の疑いがかかってしまうのだが……
情報を整理してみる
- スタートレックにおいては基礎知識ですが、惑星連邦では人体への遺伝子操作を禁止しています。これはかつて地球において、遺伝子操作によって作られた「優生人類」達が「優生戦争」という悲劇を起こしたという歴史があるからです
- ヴォルテラ星雲の連邦コロニーにイリリア人の区画があり、暫定的に連邦への加入が認められているとのことです。イリリア人居住区の環境は地球人には適さないものですが、彼らは遺伝子操作のおかげで暮らすことができています
- ニーラ弁護士はウーナ副長の幼馴染み
- パサーク中将はバルカン人で、サレク(スポックの父)の元同僚とのこと。スポックは彼のことを「腹の立つ男」と表現しました
- 裁判で判事を務めるのはジャヴァス提督(地球人)、司令部代表のザス・トラグル(テラライト人)、宇宙艦隊のチブ司令(バルカン人)、検察官はバテル大佐が務めます
- エイプリル提督もエンタープライズ船長時代には「艦隊の誓い」を無視しまくっていたようです(苦笑)
- 「 アド・アストラ・ペル・アスペラ 」は「苦難を乗り越えて星へ」という意味のラテン語(当然ですが同名の漫画とは全く関係ありません)
- ウーナがイリリア人であることを艦隊に通報したのは、ウーナ本人でした。これは仲間に嘘をつきたくないという気持ちと、イリリア人が迫害される状況を変えたいという思いによるものでした。そして結果としてこの行為が裁判での勝利に繋がりました
- 彼女がイリリア人だとパイク船長が知ったのはシーズン1「イリリアのゴースト」の事件の際ですね。宇宙歴1224.3はそのエピソードのものです
- スポックがウーナ副長の隠し事についての質問に答えるシーンは「ショートトレック」第7話のネタだそうなのですが、該当エピソードは現在(2024年2月)でも日本では公開されておりません、残念
※ショートトレックはNetflixでディスカバリーが配信されていた際には4話まで視聴できましたが、こちらも今は見られません - 法律を盾にするパサーク中将に対し、ニーラは「行動規範8514」という法律を使って逆転し無罪を勝ち取りました。これは特定の条件を満たせば連邦の庇護下に置かれるというもので、ウーナ副長は事実上自首していたおかげでこれに該当していました
- ただウーナ個人に対する裁判には勝ちましたが、遺伝子操作が違法であることは変わらず、イリリア人の状況を変えるにはまだ長い時間がかかるようです
- ウーナは、エンタープライズ副長として復帰しました
- 今回の宇宙歴は2393.8
今回の感想
エイプリル船長も艦隊の誓い破り常習犯だったのは笑った(苦笑)
さて今回は海外ドラマの伝統、裁判ものです。スタートレックでも旧シリーズから定期的に裁判エピソードは入りますね。
内容的には定番の展開に乗っかった脚本になっていて、法律遵守を主張する相手方に対して法律で反撃して逆転勝利するという展開も実に定石通りでした。その流れの中に親しいクルー達やニーラ弁護士の心情を見せていくという、この辺も定番の内容です。
まあメタ的なことを言えば視聴者としてはウーナ副長がこのまま投獄されて終わるなんてことは無いと分かりきっているので、割と安心して見ていられましたけどね(苦笑)
旧エピソードの裁判ものであれば、大体はカーク船長なりピカード艦長なり、はたまたスポックやデータ辺りが逆転の証拠を見つけてきたりするものなのですが、今回はその辺の役割をゲストキャラのニーラ弁護士に集約しているのが特長的だったなぁと感じます。
テーマの描き方は如何にも今のアメリカ的という感じで差別テーマが中心に据えられていました。普遍的なテーマですし、ニーラを演じるのが黒人女性という点も演出意図が分かりやすかったかと。
前回に引き続き今回もパイク船長はイマイチ活躍が少なく、スポックも出番は控えめでこの辺はちょっと残念でしたが、主題であるウーナとニーラの方に集中していたのは正解でしょう。
地味な法廷劇と人間ドラマですし、SF的な謎解き要素などもありませんでしたが、やはりこういうエピソードは見応えがありますね。
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