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スタートレック: SNW・S1第8話「エリシアの王国」あらすじや感想など

09.ストレンジニューワールド(SNW)

シーズン1 第8話「エリシアの王国」”The Elysian Kingdom”のあらすじ

エンタープライズは星雲の調査を終えて宇宙基地へと進路を取ろうとするが、なぜかワープドライブが作動しない。

インパルスエンジンで星雲を離れようとした直後、船は衝撃に襲われ様子が一変する。

船内の装飾はファンタジーの物に変わり、クルー達は皆その世界の登場人物になってしまったのだ。

それはドクタームベンガが娘のルキヤに読み聞かせていたファンタジーストーリー「エリシアの王国」とそっくりだった。

実験中に吸った化学物質3-QNDの影響でこの変化を受けなかったドクタームベンガは、テレパシー能力のおかげで難を逃れたヘマー機関主任と共に事態の収拾を図る。

どうやら星雲に存在する未知の意識体がクルー達に影響を与えているらしい。

さらにドクタームベンガは船内で展開されるストーリーが本来の物語ではないことに気付く。これは娘のルキヤがこのように改編したいと語っていた内容なのだ。

あわてて医療用転送機を調べたドクターは、転送バッファ内に居るはずのルキヤが消えていることに気付き……

情報を整理してみる

  • スタートレック世界のワープは船の回りをワープバブルという空間の「泡」で包み、物理的に船と宇宙空間を切り離すことで光よりも速い速度を出して航行します。ワープバブルが発生できないとワープが出来ません(宇宙戦艦ヤマトのように空間を飛び越えるワープはスタトレ世界だと通常ワープではなくトランスワープに分類されます)
  • 童話「エリシアの王国」の作者としてベニー・ラッセルという名前が出てきましたが、これはDS9シーズン6第13話「夢、遥かなる地にて」およびシーズン7第2話「預言者の呪縛」に登場した1950年代のSF作家です。ですが彼が本当に存在したのかは定かではありません(この辺は大変見事な展開なので、是非DS9を見て欲しいところです!)
  • 劇中で語られた「ボルツマン脳」という学説は現実に存在します(Wikipedia参照)
  • へマーのテレパシー能力のおかげで、ドクタームベンガは意識体との交信に成功しました
  • 意識体は孤独に閉じ込められていたルキヤに共感し、彼女を楽しませてくれているだけでした
  • 意識体はルキヤの病気を治してくれましたが、星雲を離れると病気が再発するため、ドクタームベンガはルキヤを意識体に託すことにしました
  • ルキヤは肉体を捨てて意識体と一つになって生きることになりました。存在の変わったルキヤは時間の概念も変わり、次の瞬間には成長した元気な姿を見せてくれました
  • ルキヤは意識体にデブラ(ルキヤの母の名前)と名付けました
  • 船内の全てが戻った後、クルー達はこの間の記憶を失い、保安記録も5時間分の空白となっていました

今回の感想

シリーズの定番パターンを脚本に入れ込むのはSNWの定石ではありますが、今回はまた随分と色々なネタをちりばめています。

精神生命体や高次生命体と出合ってトラブルになるというのはスタトレの基本パターンの一つです(スタトレ宇宙の高次存在といえば “Q" や ”旅人” さらには ”管理者” など多種多様です)

さらに船内が色々とめちゃくちゃになるというパターンだとTNGシーズン7「多重人格アンドロイド」、少女が精神生命体と交信するというパターンだとTNGシーズン5「イマジナリィ・フレンド」なんてのもあります。一定期間のクルーの記憶が消えてしまうというのはTNGシーズン4「空白の一日」、クルーが高次生命体に進化して船から去って行くなんてのはVOY「ケスとの別れ」がありますし、LD「湿った船」ではこの手の進化エピソードをそのまんまパロディにしているくらいです

いつものメンバーがいつもとは違う役回りを演じるというのは旧作ならホロデッキ物の定石なので、今回はそのバリエーションにもなってますね。TNGのロビンフッドエピソード(TNGシーズン4「QPID」)なども思い出します。

いやはや盛り込み方が凄すぎてクラクラしましたわ。

テレパシーのおかげでヘマーが影響受けなかったのならスポックも無事なような気がしますが、今回のスポックはしっかり影響を受けてました(この辺は脚本の都合でしょうか?)

やはり見所は役者の皆さんが普段と違うキャラクターを演じるところでしょう。この手の話だと本当に生き生きとした演技が見られて凄く楽しいんですよ。衣装も手が込んでいて見応えがあります。こういうエピソードを普通に組み込めるのがスタトレの懐の深さですなぁ。

特に今回はラアン保安主任役クリスティーナさんのハジけた演技が見所でした!普段のおっかないラアンもいいですか、こういうのも魅力的です。一緒に出演してる愛犬もかわいい! 吹き替え担当の種市桃子さん(LDのテンディ役も担当)の演技もグッド!

ウフーラが悪の女王になるのもハマってましたね。対してパイク船長のキャラ付けはちょっと狙いすぎか?

ルキヤが船を去って行くのは少々意外でしたが、あまりルキヤの話を引っ張らずに早々に決着を付ける潔さはいいと思います。

シーズン1の段階でこういうキャラクター重視のてんこ盛りエピソードを入れてくるというのも凄いですなー

いやはや、今回はお腹いっぱいです。

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