スタートレック:ローワー・デッキ S3第8話「クライシス・ポイント2」 あらすじや感想や元ネタ解説など
(以下、ストーリーのネタばれを含みます)
シーズン3第8話(通算28話)「クライシス・ポイント2」”Crisis Point 2: Paradoxus”のあらすじ
ボイムラー達はホロ映画「クライシス・ポイント」の続編「クライシス・ポイント2」を楽しんでいた。ロミュラン人と戦う手に汗握る物語だ。
最初は映画の展開にノリノリだったボイムラーだったものの、ランサムに呼び出されて席を外し、戻ってきてからどうも様子がおかしい。
時間移動装置「クロノガミ」を手に入れたロミュランを追ってタタショア9号星へと舞台は移るが、ボイムラーはストーリーそっちのけで自分探しを始めてしまった。
一方テンディ達は過去へ移動したロミュランを追って時間の通路オリガミック・ホールへと進む。
まるでやる気の無いボイムラーに頭にきていたマリナーだったが、ボイムラーが落ちこんでいた原因が、分身であるウイリアムの死だと知って考えを変えた。
ボイムラーとマリナーは共に映画の本筋から離れ、人生の問いに答えてくれるという「キティホ」という存在を探すことにする。
本筋の方で冒険を堪能していたテンディ達は、様々な時代を渡り歩きながらロミュランの計画を潰し、無事映画の大団円を迎えていた。大満足のテンディとラザフォード。
脇道にそれたボイムラー達もなんとかキティホを見つけるが、それは期待していたものとは程遠かった。だが失望する彼の前に現れたのは……
情報を整理してみる
- U.S.S.ウェイフェラーはNCC-80035、エンタープライズEと同じソヴェリン級ですが、もちろんホロデッキ内だけの架空の船です
- クライシス・ポイント2の敵役はロミュラン人のメルポナール三姉妹。クロノガミという時間移動装置を奪って過去改編を狙います
- クロノガミはクロノと折り紙を合わせた造語
- 2341年はスーリアン藻が大発生する事件があったとのこと
- テンディは自分が艦長になりたいということを自覚しました
- U.S.S.タイタンにいるもう一人のボイムラー(ウイリアム)は死を偽装してセクション31に参加したようです
今回の元ネタ解説
※小ネタは多すぎて全部は把握できていません。何か思い出したらまた追記します。
- サブタイトルを見たらすぐに分かりますが、今回はシーズン1の傑作エピソード「クライシス・ポイント」のパート2です
- 冒頭の戦闘シーンは「ファーストコンタクト」で、被害を受けたディファイアントがエンタープライズ-Eに救われるシーンのパロディですね。どうせなら「今日は死ぬにはいい日だ」も言って欲しかったなぁ
- メルポナール3姉妹のロミュラン・ウォーバードは「ネメシス」で登場したヴァルドア型
- 映画ネタなので、映画中は画面のアスペクト比が変わります。画面内にも色々と映画っぽいエフェクトが加わっていますね
- 映像内のクレジットで使われるフォントは「カーンの逆襲」に準拠
- メルポナール三姉妹というのはデュラス姉妹のパロディかな?
- タイムトラベルでケネディを暗殺するというのは、映画の2作目として最初に提示されたボツシナリオのこと。予算の問題などによって却下され「カーンの逆襲」になったそうです
- マリナーが「別の時間軸が出来て別の役者が若い頃を演じる」と言っていたのはもちろんケルヴィン・タイムラインのこと
- エウロパの研究所のシーンは「カーンの逆襲」に登場した宇宙基地レギュラ1のパロディ
- 敵を追って過去へ行くというのは、この展開自体が「ファーストコンタクト」のパロディですね
- 2341年はエンタープライズ-C が活躍していた時代です
- 1982年7月だと「カーンの逆襲」が絶賛劇場公開中です。20世紀にやって来たらラジカセ担いだパンク野郎が登場するのと服を盗むのはお約束
- 2161年の惑星連邦調印式典は、ENTシーズン4第22話「最後のフロンティア」で描かれていますが、そちらもホロデッキ映像です
- ロミュランの爆弾は「ネメシス」冒頭で使用されたセラロン放射線発生器のデザインと同じ
- キティホがあるという「シャタナリ」というのは「新たなる未知へ」で目指した「シャカリー」のパロディかな?
- シャタナリを目指す貨物船の信者達が「我らの道」とか言ってますが、これはスターウォーズネタです(「マンダロリアン」の決め台詞)
- 入れ墨が宝の地図というのは色々とネタ元が考えられますが、今ならやはり「ゴールデンカムイ」かな……
- キティホの正体が「キティホーク」だったというのは映画1作目「THE MOTION PICTURE」のヴィジャーがヴォイジャーだったというアレ
- ボイムラーがミスター・カトーと出合うシーンは「ジェネレーションズ」のピカードとカークのシーンのパロディ
- ヒカル・スールー(ミスター・カトー)の声はしっかりジョージ・タケイ氏があてていらっしゃいます。日本語版については富山敬さんがご存命なら一番よかったんですが、さすがに無理なので劇場版(新録版)などで担当されている板東尚樹さんがあてられてました
- 秘密組織のセクション31が目立つ黒バッジをしているのはDSCシーズン1第3話「支配する者」やシーズン2第3話「闇の中の光」等からのネタ。死を偽装してセクション31に参加するというのはENTのトリップのネタですね(トリップは最終回で死んでますが、設定上そういうことになってます)
今回の感想
時間ネタのストーリーでありつつも実際には過去へ行かずホロデッキ内だけというのがポイントですね。実にスタートレックらしい2つのネタの合わせ技で、いいところを突いてきます。最後に最初のシーンに戻るというのも、時間ネタの基本をしっかり押さえていてさすがです。
ソヴェリン級の戦闘シーンは、別の船ではありますが描き方がエンタープライズ-E そのものなので色々懐かしくて嬉しいです。
ピカードシーズン2に引き続き、またパンク野郎が出てきたのは笑いました。どうせならデザインも合わせて、いつものあの人に声もあててもらえばよかったのにねぇ。
あとホロデッキを出るときに画面アスペクト比の違いを跨いで乗り越えるのも笑った。こういうところの芸が細かいです。
ストーリーが2つに分岐しても、両方とも映画ネタでまとめてしまうところはさすがなんですが、ホロデッキのプログラム内で人生の答えが見つかるはずも無いし、ボイムラーの方のストーリーは今回ちょっとイマイチかなーなどと思いながら見ていました。
そしたらまあ、最後の最後でぶっ込んできましたねぇーーー!!
ちゃんと吹き替えだと「カトー船長」と呼んでるのが素晴らしい!そしてしっかりいい話にまとめてくる脚本の巧さ!
でも「クリフハンガー最低!」と言いながらクリフハンガーをやってしまうあたりが実にローワーデッキで笑えます。
そのうちシャトナーさんもカーク役で登場しないかなぁ。まあローワーデッキは散々カークのこと微妙に茶化してるから、ちょっと呼びにくいかもしれないけどね(苦笑)今回もカーク式とか言ってるしー
ところで吹き替えで見たら最後のセクション31の人の吹き替えが塩田朋子さんだったんですが……塩田さんが担当しているスタートレックのキャラクターといえばあの人なんですけど、まさかねぇ……(原語の声優さんはクレジットされていないため不明です)
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