Hunter Killer(原題)
公開からちょっと時間が空いてしまいましたが「ハンターキラー 潜航せよ」を見てきました。最近あまり見かけなくなっていた潜水艦映画です。
映画ファンの間には「潜水艦映画にハズレ無し」という格言がありまして、過去には「レッド・オクトーバーを追え!」「Uボート」「クリムゾンタイド」「K-19」といった傑作が軒を並べています。
この映画もロシアとアメリカの一触即発な緊迫した状況を描いておりますが、潜水艦映画の場合
- 見えない敵との駆け引き
- 水中という死と隣り合わせの閉塞感
- 乗組員同士の協力と対立
- わずかな音でも出せば敵に感知されてしまうという緊迫感
- 浸水という見た目にも分かりやすい危機的状況の表現
等々と、過酷な環境で戦う男達の物語を描く下地がこれでもかとばかりに用意されていますので、傑作になりやすいのでしょうね。
原作は早川書房より刊行されております。
私は未読なのですが、映画化にあたってかなり改編されている部分があるそうです。特にクライマックスは大きく変更されているそうなので、何がどう変わっているのか、後日読んでみようかと思っております。
以下感想です(ネタバレあり)
正直に言えば突っ込みどころは多いです。まああまりそういう部分に目くじらを立てず、娯楽作として見るべきでしょう。逆にそういう所が気にになってしまう人には厳しいかもしれませんね。
潜水艦映画と言いつつ半分は特殊部隊が敵基地に潜入して人質を救出する地上戦ですし、潜水艦同士の戦闘は前半だけ。頼まれてもいないのに勝手にロシアの基地に侵入して人質救出しようというアメリカの無茶っぷりも凄いです(苦笑)あれ別に救出に出向かなくても撮影した映像をCNNで流すだけでクーデター十分に潰せたんじゃ無いだろうか???
それにしても、戦争映画でありつつ主なテーマを対立よりも和解に持って行ってるあたりは、今どきの映画だなぁと思います。
またキャラクターの描き方が上手くて、アーカンソーのジョー・グラス艦長とロシアのアンドロポフ艦長が次第に信頼と友情を結んでいく下りはやはり熱い物があります(軍人としては失格で荒唐無稽な話ですけどね)それがラストのあの大逆転に繋がるわけですが、あれもまあ普通ではあり得ないご都合主義的な展開ではあります。娯楽作としてはそこが良くもあるのですが。
一方の特殊部隊の方もしっかり見せ場があって、足手まといかと思っていた新人君がよもやのところで狙撃の腕を見せて大活躍したり、非情かと思っていた隊長が危険を顧みず新人君を助けに戻ってくる男気を見せてくれたりして、このあたりは割と満足感高かったです。
ただそれに比べてロシア兵の方はなんとも間抜けな描写が多かったですねぇ。隠れてる特殊部隊探しに来たのにロクに調べもせず戻っちゃったり、狙撃兵がいるって分かってるのに身を隠そうともしなかったり、監禁している大統領の警護もかなりお粗末でしたよ。まあここであまりロシア側が強敵すぎるとお話終わっちゃいますから仕方ないですけど(苦笑)
というわけで、個人的には「潜水艦映画を見た」という印象が少々薄くて、アメリカらしいアクション映画を見た、という感じがしています。娯楽映画としては十分合格点。でももう少し潜水艦同士の緊迫する戦闘も見たかったなぁ。