難し~いプラモの塗料の調合を、スマホを使って楽にする方法【調色】
色合わせは奥が深いのです……
プラモの塗装をする際、市販のビン入り塗料をそのまま使ってしまえれば楽ちんなのですが、どうしても市販品にない特定の色を作りたいときがあります。
昔はこのような「調合」作業は作り手の勘や経験に頼ることが多く、自分でやってみてもなかなか思うような色になってくれないことは多かったです。
建築現場のプロの内装職人などは、日本塗料工業会が発行している色見本を使って色合わせをするのが通例です。
職人は見本帳から目的の色に近いものを探してその色番号で工場に塗料を発注します。ですが時間が無い場合や少量しか必要ない場合などは、色番号から塗料の成分が分かりますので、それを参考に現場で調合したりします。
目当ての色の成分を知り、何色を混ぜれば良いのかを判断することは、プロにとっても大事なことなのです。
近年はスマホのおかげでこの手順が物凄く楽になりました。
スマホの「色彩情報分析アプリ」を使いましょう!
最近はスマホ向けに「色彩分析」アプリが登場しています。ストアで検索すれば何種類か出てくるはずです。
カメラで撮影した色や画像の色を分析して、その成分を表示してくれるのです。
例えばこの創彩少女庭園の画像から、まどかちゃんの頬のピンク色を指定して分析してみると……
RGBだと、R:225 G:183 B:173 と出ました。
しかしプラモの塗料調合用に考えるなら、CMYKの方を見なければいけません。
CMYKだと、C:0% M:19% Y23% K12%
となりました。Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはキープレートの略なのですが、まあKは黒と思っておいても実用上は大丈夫です。
塗料はこちらのCMYKが分かれば調合はかなり楽になるのです。
※この辺の色彩用語や仕組みを解説し始めると専門書が一冊書けてしまいますので、興味のある方は色彩検定の参考書等をお読み頂くのがオススメです。2020年に試験要項が変わったため、それ以前の参考書は古本で購入するとかなり安く手に入りますよ。色彩の基本を知るにはそれで十分です。
CMYKの数字全部足しても100%にならないのを変に感じる方もおられると思いますが、全部0%なら白、全部100%なら黒です。と言えばなんとなくイメージが分かるんじゃないでしょうか。
アプリの中には全体を100%として各基本色のパーセンテージを分析するものもありますが、私はCMYK表示の方が使いやすいのでこっちを使っています。
実際に調色をしてみます!
論より証拠、調合をやってみます(と言うか今作っている作品用に成形色合わせの黄色が作りたかったので、ついでにこの記事を書いてるのです(苦笑))
左は白のプラ板にクレオスラッカーの黄色を塗ったもの、右は今回目指している30MMの黄色成形色のランナーです。
クレオスのイエローを調色して成形色の黄色を作ります。
先ほどのアプリを使って分析してみたところ……
クレオスの黄色が、C:0.0% M:12.9% Y82.0% K0.0%
ランナーの黄色が、C:0.0% M:16.9% Y44.1% K0.4%
と、なりました。
※どちらも写真から分析しましたが、光の当たり具合で分析数値が変わってしまいますので、満足出来る色を拾えるまでひたすら繰り返します。
数値で見る限り、シアンの成分は検出されず、黒も0.4なら殆ど影響ありません。黄色の成分を下げて(白を足す)、そこからマゼンタを少し足してやれば良さそうです。
丁寧にやりたい場合は色を足すごとに成分分析を繰り返しますが、今回は割と簡単そうなので一気にやっちゃいます。
このような際に使用する調合用の塗料がガイアとクレオス双方から発売されています。これを使えば色の濁りを抑えながら調合が可能です。ちゃんとマゼンタ、シアン、イエローが販売されています。
と言うわけで出来ました。ランナーに塗って比較してみるとこんな感じです。中央から右側が塗装した部分、左がランナーそのままの部分です。
塗料とプラスチックの質感の違いやツヤの違いはありますが、大体狙った色にたどり着けているのではないでしょうか。もうちょっと白を足しても良かったかな?
以上、塗料の調合に悩んでいる方のご参考にでもなればと思います。