自作塗装ブースの作り方(その3)電気配線作業のための基礎知識
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まず知っておいて欲しいこと
換気扇用の配線程度であれば大して難しい作業ではありません。材料もホームセンター等で簡単に手に入りますので、自分でやってしまおうと思うのは当然です。ただし電気はやはり危険な物だと言うことも理解しておかなければなりません。
もし感電したとしても指先にちょっと流れた程度なら大した影響はありませんが、流れ方によっては命に関わる場合もあります。不良施工による漏電が原因で火災になることだってあります。電気は目に見えない物だけに細心の注意が必要なのです。だからこそ国家資格で有資格者で無ければ作業できない範囲を明確に定めています。
一般の家庭の100V配線であれば第二種電気工事士という資格が必要です。もし今回自作ブースに使っているような天井埋め込み型のシロッコファンを実際に天井に埋め込んで設置し、壁にスイッチを付ける工事をしようと思ったら有資格者でないとできません。
しかし、今やろうとしているのは卓上などにファンを取り付けた塗装ブースを置いて、壁のコンセントから電源を取って動かすという程度の物です。これですと有資格者という制限からは外れますのでDIY作業が可能です。
とはいえ、配線にはやはり専門的な知識が必要な部分もありますので、自信が無い方は無理に自分では行わず専門知識のある方に依頼されることをオススメいたします。
(私は第二種電気工事士を所有しております)
作業に必要な工具
今回の換気扇の配線程度でしたら以下の物があればOKです。
- ナイフまたはカッター
- ドライバー(プラスとマイナス)
- ペンチまたはニッパー(プラスチック用では無く金属用の物)
ケーブルを剥くためのワイヤーストリッパーや接続のための圧着ペンチといった専門工具もあれば便利ですが、無理に用意する必要はありません。結構高価な道具ですし無くても作業は出来ます。
ケーブルの切断には必ず金属用のペンチかニッパーを使用して下さい。プラモデル用のニッパーなんか使ったらまともに切れないばかりか折角のプラ用ニッパーが刃欠けしておシャカになりますよ。
ケーブル剥きにはナイフかカッターを用いますが、カッターは基本的にはあまりオススメしません。作業中にカッターの刃が折れることがあり少々危険だからです。また使うとしても事務用の小型のカッターは不可です。下に紹介しているような工作用の大きい物を使います。事務用のカッターではすぐに刃が折れてしまって作業にならないでしょう。
配線材料の基礎知識
家庭用100Vの配線ではVVFというケーブルを使います。家庭用の換気扇やスイッチ機具類の接続端子はこのケーブルを前提とした設計になっている物が殆どですので、嫌でもこれを使うことになります。1.6mmや2.0mmといった種類があり、これは芯線のサイズを示しています。消費電力の大きい電気器具には太い電線を使わなければならないのですが、換気扇用であれば細い1.6mmで十分です。
このケーブルには下の写真のように2芯、3芯といった種類があります。
単純に換気扇をON・OFFするだけの配線なら2芯だけで十分です。もし強弱を切り替えるような配線をするのであれば3芯も使う可能性が出てくるのですが、そのためだけに無理に3芯まで買う必要はありません。2芯で代用は可能です。
配線のためにはこのケーブルを剥かなければなりません。
ワイヤーストリッパーという工具があれば一発なのですが、ナイフ(カッター)でも十分可能です。芯線を傷つけないように注意して、下の写真のように加工します。
プロの作業員は限られた時間で作業を手早く進めるためにニッパーでパパッと剥いてしまったりするのですが、自宅でのDIY作業の場合は時間は十分にあるのですから、余計なところに傷をつけないよう丁寧に刃を入れることを心がけましょう。
VVFケーブルの接続を想定した器具は、被覆を剥いた線を差し込むだけで接続できるように作られています。
下の写真はスイッチ配線器具の裏側です。配線を剥きとる長さが記載されていますので、指示の長さで被覆を剥いて穴に差し込めば線が固定されます。正しく固定されれば手で引っ張った程度では簡単には引き抜けません。外したいときは、はずし穴にマイナスドライバーを差し込んでやれば簡単に抜くことが出来ます。
※このタイプの器具の殆どは接続穴の近くに長さ指定(ストリップゲージという)が記載されていますので、それに従って線を加工すればまず失敗はありません。器具本体に寸法の記載が無い場合は取扱説明書の方に書かれているはずです。
(次回は実際の配線について)
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