「完全」な新作ではないよ? サンダーバード55を見てきた【感想】
Thunderbirds 55/GoGo
名作「サンダーバード」の新作映画が公開されるというので見てきました。
公式ホームページを見ると「完全新作」などと書かれていますが、「完全」な新作とはちょっと言いにくいところです。というのは以下の理由によります。
今回の作品の概要
- 今回の映画は、2015年にクラウドファンディングによって作られた50周年記念作品を元にしているとのことです
- 1960年代に発売された音声ドラマレコードの内容を映像化したもので、つまりシナリオ及び音声は当時のものを再利用しています
- ドラマレコードの内容は「サンダーバード登場」「雪男の恐怖」「大豪邸、襲撃」の3話で、一本30分未満の短編です
- 新作映像は新たに制作した人形とセットを用いて撮影されていますが、発進シーンなどは従来のバンク映像を用いています。つまり新作映像と旧作映像を編集して作品に仕立て上げているというわけです
- そのため画面サイズは旧来の 4:3 になっています。いまどきのワイド画面ではありません
- 当時のスタッフから、監督のデヴィッド・エリオット氏と人形師のメアリー・ターナー氏も参加されています
- 今回の劇場公開版は、3つのエピソードはそのままに、樋口真嗣氏が間をつなぐメイキング映像やダイジェスト映像を作成して1本の映画に構成したものだそうです
以下感想です(ネタバレあり)
3つのエピソードがあるわけですが、3つ全部、いわゆる「ペネロープ回」でした。全部主役はレディ・ペネロープです。
おかげでペネロープ嬢の色々な衣装が見られる楽しさはあります。シーン毎にことごとく違う衣装に着替えるのでなかなか楽しいです。
あと繋ぎのダイジェスト映像ですが、樋口監督はここをリスペクト、というかパロディで処理してしまいましたね。サンダーバードの映画を見に来るような往年のファンならすぐに分かるパロディでしたが、ちょっと露骨すぎな気もしました。
最初の「サンダーバード登場」は本編第1話の前の出来事で、初めて島にやってきたペネロープに様々なメカを紹介するというもの。発進バンクシーンが一通り見られます。その点ではお得感あるのですが、新作映像は基本的にペネロープさん達の会話部分ばかりです。
とはいえ古い映像と新しい映像の違いは殆ど分かりません。よくこれだけ違和感なく作った物だと感心しますよ。もちろんこれは過去作の映像のクオリティの高さあっての物なのは間違いありませんね。
50年経っても未だ通用する映像というのは本当に凄いと思います。
ただこの1話目、全体の印象としてはパーカーかわいそうとしか(苦笑)
2話目の「雪男の恐怖」はこの映画で唯一の救助シーンがあります。
というか、救助シーンなさすぎでしょうこの映画!2号からの消火弾投下しかないとか予想しとらんですよ!!
サンダーバードの魅力の一つに様々な救助メカの数々がありますが、今回救助メカは全く登場しません。この点はもう本当に残念としか言いようがありません……
この回は雪山でフッドと対決するというものなのですが、立木文彦さんのフッド吹き替えは結構合ってたと思います。
そして3話目の「大豪邸、襲撃」ですが、これはもう典型的な「これ国際救助隊が出動するような事件じゃないんじゃない?」というタイプのお話でした。
時々ありますからね、この手の話(苦笑)
でもこの事件内容に対して1号、2号、4号まで勢揃いで出動するのはやり過ぎでは……
とまあ、やはりオーディオドラマの短編を元にしているだけに、内容的には少々物足りなさを感じてしまいました。
もしもまた新作を作られるようなことがあるようでしたら、新型救助メカを登場させてガッツリと国際救助隊の活躍を見せて欲しいなぁと思いましたね。
あと権利関係の都合なのかは分かりませんが、日本公開版についてはいつもの日本語主題歌を流して欲しかったなぁ、というのが最大の不満点。やっぱりアレを聞かないとサンダーバードを見た気がしないんだよなぁ(苦笑)