スタートレック:ディスカバリーを見る際の2つの予備知識【初見の人向け】
3種類のスタートレックシリーズを覚えておこう
2020年4月現在、映像化進行中のスタートレックは3種類があります。
1つ目は第1シーズンの配信が終了したばかりの「スタートレック:ピカード」
旧作シリーズの設定と雰囲気を最も強く受け継いだシリーズです。第2シーズンの製作が発表されてはいますが、昨今の世情から撮影開始は遅れそうですので次がいつになるかは分かりません。
2つ目はケルヴィンタイムラインを舞台にした映画シリーズです。
新規のファン獲得を狙い歴史を仕切り直したシリーズで、アクションシーン多めです。「スタートレック」「イントゥ・ダークネス」「ビヨンド」と続き四作目の製作がアナウンスされてはいますが、役者のギャラ問題で揉めたり、それが解決したと思ったら世界的な感染症騒ぎもあって、果たして四作目がいつになるのかは、かなり怪しくなってしまっています。
そして3つめが「スタートレック:ディスカバリー」です
ちょっとクセがあるディスカバリー
既にNetflixにてシーズン1とシーズン2が配信され、DVDも発売中です。
シーズン3も撮影は終了しているそうですが、現在のところ2020年配信予定ということしか公表されておりません。
ただこの作品、ちょっとクセがあります。
私も全話視聴しましたが、何の予備知識も無しに見始めて少々戸惑ってしまいました。少なくとも以下の2点くらいは視聴前に確認しておくべきだったと思います。
その1 時代設定を確認しておこう
漠然と、最初のスタートレック(宇宙大作戦)よりも前の時代の話だとは知っていたのですが、正確にいつの話なのかを把握していませんでした。
どの年代に収まる話なのかしっかり抑えておきましょう。
- 2063年 地球人がバルカン人と初接触(映画「ファーストコンタクト」)
- 2151年~「スタートレック:エンタープライズ」(アーチャー船長の活躍)
- 2161年 惑星連邦発足
- 2245年 U.S.Sエンタープライズ号(NCC-1701)進宙(エイプリル船長)
- 2251年~「スタートレック(パイロット版)」(パイク船長の活躍)
- 2256年~「スタートレック:ディスカバリー」
- 2264年~「スタートレック(宇宙大作戦)」(カーク船長の活躍)
※ただし、2233年にネロが未来から現れタイムラインが分岐するため、ケルヴィンタイムラインではディスカバリー号は存在しないと思われます。
ディスカバリーの時点でエンタープライズ号は既に10年以上運用されたベテラン船なんですね。まだカーク船長は就任しておりません。
ディスカバリーの時代設定は、宇宙大作戦のパイロット版と本編との隙間の時代に割り込ませてくるという、大変微妙な設定なんですねぇ。こりゃちゃんと調べなきゃ分かりませんって(苦笑)
ミスタースポックだけはパイク船長時代からエンタープライズ号に配属されておりますので、カーク船長よりもキャリアは長いのです。
その2 クリンゴン人に惑わされるな
この作品で賛否両論が繰り広げられたのがクリンゴン人の外見です。
(画像引用元:https://www.cnn.co.jp/style/design/35124156.html)
こちらがディスカバリーに登場するクリンゴン人です。メイキャップ技術が過去作に比べて格段に進歩しているのは分かるのですが、過去作を知っているとこの新しいデザインをクリンゴン人と言われても、なかなか納得出来ませんよねぇ。船内の装飾もきらびやかで、過去作の質実剛健な感じとは大分違います。
これについては「こういうものだ」と割り切って視聴するしかありません。
(余談)クリンゴン人のデザインの変遷
(画像引用元:https://www.cnn.co.jp/style/design/35124156.html)
旧作からのファンにとって最も馴染みがあるのはこのデザインでしょう。
最初の劇場版からこちらのデザインになりました。映画「ミスタースポックを探せ」(1984年)に登場してカーク船長の息子を殺したクリンゴン人もこのデザインです。その後「ネクストジェネレーション」(1987年~)のメインキャラクターであるウォーフによってファンに最も親しまれるデザインになりました。後の「スタートレック:エンタープライズ」に登場するクリンゴン人もこのデザインを踏襲しています。
実は最初の「宇宙大作戦」に登場したクリンゴン人はこんなデザインでした。
(画像引用元:https://www.cnn.co.jp/style/design/35124156.html)
宇宙大作戦当時はメイキャップ技術の限界もあってこんなデザインだったわけですが、この外見は作中でもネタにされていて「スタートレック:ディープスペースナイン」第104話「伝説の時空へ」において、ウォーフがこの違いについて問い詰められ「外部のものには明かさないことになっている」という有名な(?)台詞を言ったりします(苦笑)
ところが「スタートレック:エンタープライズ」において、この問題に作中で決着が付きました。いきさつは第91話「クリンゴンの苦境」と第92話「優生クリンゴン」の2話にて描かれます。原因は遺伝子操作によって作られた「優生ウイルス」の影響だったんですねぇ。以後100年以上、クリンゴン人はこのウイルスの影響を受けることになります。
ちなみに時間改変が起きたケルヴィンタイムラインの「イントゥ・ダークネス」では、上記の3タイプのどれとも異なるクリンゴン人が登場するため、さらにややこしくなってしまいます。
(画像引用元:https://memory-alpha.fandom.com/wiki/Piercing)
優生ウイルスはタイムライン変更前の事件ですのでケルヴィンタイムラインでも影響は残っているはずです。この時代なら額の突起は無くなっていなければおかしいのですが、イントゥダークネス版クリンゴンはディスカバリー版ともまた一味違うデザインを採用しています。ただ、ほんのちょっとしか登場しない上、ハッキリと顔を見せるのは1人だけなので、このキャラクターだけ例外だったという可能性もあります。
いずれにせよ、こういう変化でファンを困惑させるのは止めて欲しかったなぁ、と思いますね。
ディスカバリー版はもう仕方ないとして、今後「ピカード」にてウォーフや他のクリンゴン人が登場することがあるなら、従来通りの慣れ親しんだデザインで登場して欲しいなぁ、と切に願うのです。
※実を言えばピカードの第一話では記録映像として一瞬だけウォーフが映っています。昔の映像なのでもちろん馴染みのデザインのままです。