都心で家賃0円生活!?
NHK「所さん!大変ですよ」(2019年1月17日放送分)「都心で家賃0円生活!?」にて、住宅費用を劇的に抑えるという話を紹介していました。
(番組ホームページ → こちら)
表題になっている「都心で家賃ゼロ円」の事例は、渋谷駅から徒歩10分程度という場所のマンションでのお話。
2DKのお部屋で35㎡ほどの広さ、家賃0円ということですが、本当に家賃がなしというわけではありませんでしたね。家賃自体はちゃんと発生していて、その家賃分を部屋の時間貸しによるレンタル料で稼ぎ出している、という内容でした。週4日平均4~5時間程度貸し出せれば、ちょうど家賃とつりあう程度の収入になるとのこと。
利用者はマッチングサイトで予約を入れて利用申し込みをするのですが、家にある家具や食器などは自由に使えるのだとか。
どうせ昼間は家にいないから、その時間を人に貸して利益にしてしまおうというわけで、都心だからこそ出来るという手法でした。しかし予約が入っている時間は家にいられないわけですし、不便も多そうですよねぇ・・・
アドレスホッパーという生き方
もう一件紹介されていたのは固定の住居を持たず、ホテルや民泊を活用するという生き方でした。住所を持たないということで「アドレスホッピング」と呼ばれるライフスタイルなのだそうです。
数日分の生活用品や着替えをカバンで持ち歩き、万が一泊まる場所が見つからなかった際のための簡易ベッド(キャンプ用のもの)も携行しているとのことでした。
こちらの方曰く、家の機能というものは分解していくと既に代替サービスが揃っており、
- 宿泊 ホテル・民泊・旅館・ホステル等
- 収納 レンタル倉庫
- 洗濯 洗濯代行サービス
- 食事 外食・コンビニ
- 入浴 銭湯・サウナ
といったもので十分対応できるとのこと。住居が固定されていないことで通勤時間も殆ど無し、飲みに行ったらその近くで宿を探し、翌日飛行機で出張する際には空港のロビーにて簡易ベッドで一泊することもあるのだそうです。う~ん、合理的ではありますけどねぇ
実際、宿泊費やレンタル倉庫代などを合計しても、家の家賃を払うよりも安上がりだとか。こんな「アドレスホッパー」の方は最近増えているそうです。でも番組でも言っていましたが病気になったときとかは困りそうですし、住所不定というのは色々な手続き等で困る場面は多いように思いますが・・・
そういえば実業家の堀江貴文氏(ホリエモン)もライブドア事件で実刑を受けた後、六本木ヒルズの住居を追い出され、それ以来固定住居をやめてホテルを渡り歩く生活に変えてしまったと聞きます。
堀江氏の場合は世界中飛び回っているそうですし、利用しているサービスの金額的にも状況はだいぶ違うとは思いますが、根本的なところでは共通点があるように思います。
持たないという生き方
最初の「都心で家賃ゼロ円」という方の場合は家賃という合理性をとるかわりに、自宅におけるプライバシーを持たず、不特定多数の他人に部屋をオープンにするという選択をしているわけです。
もう一人の方も、各種のサービスを合理的に利用して費用を節約したり、通勤時間や移動の制約から解放される代わりに、固定住居を持たないという選択をしているわけです。
このように合理性をとって、余計なものを「持たない」という生き方を積極的に選択する方が近年増えてきているようです。
分かりやすいところでは自家用車の所有率の低下がいい例でしょう。30歳以下の若年層の自動車所有率は年々下がっているそうで、レンタカーやカーシェアリングで済ます方が増えているのだとか。
先日別の記事で触れましたが、家電の定額利用やワイシャツの定額レンタルサービスといったものが人気になっているのも、こういった「持たない」傾向の現われなのかもしれませんね。
共用の文化
物をあまり持たずに共有で済ますという文化は別に新しいものではなく、日本でも江戸時代の長屋では生活必需品の共用は当たり前に行われていたそうです。そもそも長屋というのは水道(井戸)もトイレも共用ですからね。長屋ぐるみの大きなシェアハウスだったわけです。
これには江戸時代の庶民は貧しくて助け合わないと生活できなかったという背景もあります。
近年、好景気で賃金上昇などと言われてはいますが、会社の若い連中などを見ていると本当に好景気なのかは疑問に思うことも多いです。そういう世相を見ていると、ふたたび江戸時代のように合理的な共用文化が主流になっていくのかもしれないなぁ、と少し思えてきたりもします。
ただ江戸時代の長屋が成立していたのは、住人全てが顔見知りで家族のような状態だったという背景もあるんですよね。残念ですが現代ではセキュリティ面の備えは遥かに難しくなっています。
部屋の時間貸しにしても不特定多数の他人を部屋に入れるリスクはかなり大きいです。合理性に目を向けるだけでなく、安全への備えも益々重要になってくるのは、間違いのないことでしょうね。