【映画】氷河期世代に突き刺さる?ジョーカーを見てきた!【感想】
ジョーカー:Joker(原題)
スーパーマンと並ぶDCコミックスのヒーロー「バットマン」に登場する有名な悪役「ジョーカー」を主題とした作品です。ですがアメコミっぽさは一切感じさせない映画でした。
名悪役ジョーカーの誕生が語られます。はっきり言って内容は暗く重く、家族連れで楽しく見るような映画ではありません(実際15歳未満は保護者同伴でも鑑賞できません)
本作はこれまで制作されたどのバットマンの映画とも繋がらず、他の作品とは完全に独立した作品だそうです。
一応バットマンの基本的な設定は踏襲されてますが、別に無くても問題ない程度の扱いです(しかし路地裏で殺されるウェイン夫妻と飛び散る真珠のネックレスはお約束になってしまいましたね…)
以下感想です
実際のところジョーカーを通して現代の社会情勢を反映させた映画なので、突き刺さる人にはかなり刺さりそうな映画です。
そういう点では、別にわざわざアメコミをネタにしなくても作れる映画なんじゃないか?という気もするんですが、見終わってみると、ジョーカーのあの狂気を纏ったキャラクター性があって初めて成立している絶妙なバランスの映画だということも分かります。
その狂気を演じきっている主演のホアキン・フェニックスの演技がまた凄い。いやホント凄い(大事なことなので2回
いや考えてみたらアメコミネタというオブラートが無いと、この作品の主題は危険すぎるかもしれませんね。
テーマは明らかに社会的強者と弱者との「分断」そしてその行き着く先の危険性なんですが、映画は紛れもなく弱者側の視点に立っています。
実際、我慢に我慢を重ねながらも徐々に「ジョーカー」へと変貌していくアーサーに感情移入させる作りになっていて、トーマス・ウェイン(のちにバットマンになるブルース・ウェインの父親)の方がどう見ても悪役に見えてきます(苦笑)
社会の情勢に我慢を重ねているなんて、今の庶民の姿その物じゃ無いですか。
現実に、大勢いる社会的弱者の誰がいつ「ジョーカー」になってもおかしくないですし、それが切っ掛けになって映画のようにピエロ集団の暴動に発展してもおかしくありません(というか現在香港でまさしく進行中ですね…)
この手の「社会的分断」は世界中で起きてますし、日本だって他人事ではありません(オリンピックがらみの無駄使いっぷりとか見ると泣けてきます)
だだまあ、日本の場合歴史的に見ても社会的に見ても、アメリカや中国のように不満の爆発から来る暴動へと発展するかというと、幸か不幸かそれはあまりなさそうな気もします。
私は氷河期世代の最初の方なので比較的マシなのですが、この映画を見ても正直あまり刺さりませんでした。なんというか、もう怒りよりも諦めの方が大きいんですよ…
なんかすっかり映画の感想から離れてしまいましたが、今作はアメコミキャラを借りて描いた、かなり社会派のドラマでした。これは後々いろいろ語られそうな作品です。こういう映画が評価されヒットしているという点も含めて、社会が病んできているのが少なからず実感できるように思います。